ノルウェー産の靴
ワーホリに行くと、あまり海外に出回っていないローカルなアウトドアブランドを探すのがひとつの楽しみだったりします。
今回は、ここノルウェーに来て色々調べて見つけた「Alfa(アルファ)」というメーカーについて書こうと思います。日本にいたらおそらく知らなかったブランドだと思うので、「めちゃええで」という気持ちを込めて紹介します。
僕の周りやSNSの投稿、メルカリなんかを見ている限りでも、日本人がハイキングシューズとしてAlfaを履いているケースはかなり少ない印象です。元々はテレマークスキー(Telemark Ski)のブーツを出しているメーカーなので、そっちをやっている人たちには馴染みのあるブランドかもしれません。
ただ、このAlfaというメーカー、現地ノルウェーの好日山荘、石井スポーツみたいなメジャーな大型店にはあまり置いていなくて、セレクトショップに近いアウトドアショップでよく見かけるブランドです。なんでgearholicなノルウェー人たちが選ぶメーカーなのかなと思います。
で、今回はそのAlfaの靴をちょっと頑張って奮発して買ってみた(今まで買ったローシューズの中で一番高かった)ので、詳しく紹介していきます。

Alfa
Alfaは1931年創業のノルウェーの老舗シューズメーカー。90年以上の歴史があります。
創業以来、ずっと靴を作り続けていて、ノルウェーの厳しい自然環境に耐えられる登山靴やハイキングシューズ、さらには軍向けのブーツなんかを作ってきました。
ノルウェーの山って、実際に歩いてみて分かったんですが、日本とは全然違います。歩きやすい山でも過酷な山でも基本的には沼があったり舗装されていなかったり、岩場が基本的にどこでもあります。なので 濡れた岩場、広大な湿原、残雪、泥、尖った岩稜帯で 水没しやすいし、アッパーも擦れやすい。
そういう環境で長年地元の人たちやプロに選ばれ続けてきたっていうのは、それだけでかなりの説得力があるなと。

「Alfa For Life」という考え方
もう一つ、調べていて「あ、いいな」と思ったのが、彼らが掲げている「Alfa For Life」というコンセプト。
最近のアウトドアギアって、とにかく「軽い」「高性能」「最新素材」みたいな話が多くて、それ自体はすごくいいことだし自分もULギアが好きなんだけど、その一方で寿命の短さがネックになってます。靴なんて2000kmも歩いたら壊れてしまう靴が多い。壊れたら買い替える消耗品みたいになっている側面が僕は少し気になります。
でもAlfaは、製品を長持ちさせること、そして壊れたら修理して使い続けることをかなり重視している。
2019年には、GORE-TEXが入っているのに完全にソール交換や修理ができる登山靴を発表したりもしている。 靴が壊れたら新しいものを買う、ではなくて、修理して寿命を延ばす。
こういうサステナビリティの捉え方はすごく共感できるし、長く使える靴を作ろうとしている姿勢は、道具好きの人にはいいなと思います。
重くてタフなギアで長く遊ぶことで所有欲を満たしたい、そんな気持ちが強くなってきているこの頃。

Aksla 2.0 GTX
そんなAlfaが作っている軽量ローカットハイキングシューズが、今回買った「Aksla 2.0 GTX」です。
メーカーの説明を見ると、 「軽い」 「丈夫」 「防水」 「グリップがいい」 という、山で欲しい要素を押さえている靴です。
A/P/S はstår for Alfa Pro Seriesの略で、alfaの中でもハイエンドモデルということになります。

主なスペック
- モデル名: Aksla 2.0 GTX
- 重量: EU43で438g
- アッパー: Bio-based Dyneema®
- ライニング: GORE-TEX ePE membrane
- ソール: Vibram® Litebase Megagrip
- 特徴: 足首の伸縮性ゲイター、ダブルステッチ補強
メーカーの発表によると、この「2.0」になってからアッパーの柔軟性が上がって履き心地が良くなったらしい。 さらに、傷みやすい部分にはダブルステッチで補強が入れられている。
特徴は3つ。Dyneema」「Litebase Megagrip」「GORE-TEX ePE」ですね。
ローシューズの中では最高級なマテリアルが使われていると思います。

アッパーのDyneema(ダイニーマ)
Aksla 2.0 GTXの一番の特徴と言っていいのが、アッパーに使われている「Dyneema」です。
Dyneemaは、とにかく軽くて強い繊維。 steelの15倍強い(強すぎ)
軽くて強い。 じゃあ、それを靴のアッパーに使ったらどうなるか。
普通のメッシュアッパーだと、軽くて通気性はいいんだけど、岩や木の根に擦れたときに破れやすい。 かといって革や厚手のナイロンにすると、頑丈だけど重くなるし、濡れたときに乾きにくい。
薄くて軽いのに、耐摩耗性
岩に擦れても破れにくい。これはもちろんそうなんですが、それだけじゃなくて小指の付け根あたりの経年劣化による破れに対しても強いです。
繊維自体が水を吸わない
他のメッシュ素材や皮、ナイロンと言った素材よりも濡れた後の速乾性が異常に高い。マジですぐ乾く。さらにこの特徴により靴が重くなりにくいメリットも生まれています。
これらの特徴から岩稜帯が多く濡れる可能性が高いノルウェーの環境に適している素材と言えるんではなかろうか!!!と思います。
Vibram Megagrip Litebase
ソールにはVibramのMegagrip。 僕の中では最強だと思ってます。
そこに「Litebase」という技術が合体している。 これはソールの裏側の厚みを薄くすることで、グリップ力を落とさずにソール全体の重量を約30%削るという技術。
他のメガグリップの靴を履いていたときも、このVibram Litebase Megagripのグリップ力にはかなり助けられました。岩場での安心感が全然違う。 Akslaでも同じソール技術が使われているので、安心材料です。

GORE-TEX「ePE」
メンブレンには、最近アウトドア業界で増えてきている「GORE-TEX ePE」が使われています。
これまでのGORE-TEXで使われていたフッ素化合物(PFC)を使わない、環境負荷を抑えた新しい素材。 環境に優しくなりつつ、防水性や防風性、透湿性はこれまでのGORE-TEXと同等レベルを維持している。実際はちょっと違うらしいけど。
以前履いていた「norda 001A」との比較
Nordaを履いたのは3年前

Montrealに住んでいた時にMontreal産のできたばかりのメーカーがあることを知りました(その時もワーホリ笑)
「メイドインモントリオール?メガグリップ?ダイニーマ?」って理由で買いました
その靴と今回買ったAkslaのスペックが激似です。
同じ素材を使っていて、同じようなソール技術を使っている。 じゃあ何が違うのか。 気になったので、少し掘り下げて考えてみました。
スペックの対比
| 項目 | Alfa Aksla 2.0 GTX | norda 001A |
|---|---|---|
| 用途 | ハイキングシューズ | トレイルランニング |
| 公称重量 | 438g | 268g |
| アッパー | Bio-based Dyneema(ゲイター一体型) | Seamless Bio-based Dyneema |
| 防水性 | GORE-TEX ePE(完全防水) | 基本は非防水 |
| ソール | Vibram Litebase Megagrip | norda×Vibram Litebase Megagrip |
| 足首周り | 伸縮性Dyneemaゲイター | トラディショナルな履き口 |
| 方向性 | 悪天候や悪路をしっかり歩く | 遠くまで軽く・速く走る |
ちなみに重量の比較についてひとつ補足しておくと、Akslaの438gは「EU43」、nordaの268gは「US8.5」の数値です。 サイズ規格が違うので単純に数値だけで並べることはできないんですが、それを差し引いてもAkslaの方が100g以上重い。
この重さの違いは、そのまま「靴の作りの違い」になっています。
何が一番違うのか?
一番大きいのは、やっぱり「作られた目的(思想)」の違いだと思います。
norda 001はトレイルランニングシューズ。 速く走るために作られていて、できるだけ軽く、クッション性を高めて、足を前に進める方向性。 アッパーも一枚のシームレスなDyneemaで包み込むような作りになっています。
一方、Aksla 2.0 GTXはハイキングシューズ。 軽さは欲しいけど、山道を歩くうえでのプロテクションも欲しい。 雨が降る、湿原がある、泥がある、小石が入る。そういう北欧のトレイルで「濡れた足で歩く小石を取り出す」といったストレスを無くして歩くための機能が足されています。
具体的には、
- GORE-TEX ePE: 雨や濡れた草の中でも水が入ってこない完全防水。
- 伸縮性ゲイター: 足首周りを覆うDyneemaゲイターで、砂や小石、泥の侵入を防ぐ。
- ソールの安定感: 荷物を背負って不整地を歩くときにブレにくいミッドソール。
つまり、
- norda 001A: 「速く走るためのDyneema」
- Alfa Aksla 2.0 GTX: 「守るためのDyneema」
「濡れても軽い」という素材に「だから速く走れる」と「だから快適に歩ける」2つそれぞれの意味を見出しているところがかなり面白いところです。同じ素材、同じソールブランドを使っていても、ブランドが目指している場所が違うってこった。

438gという重量をどう見るか
重さについて、EU43で438g。全然軽量ではない。普通に重い。笑
一般的な軽量を売りにしているトレイルランニングシューズは200g台〜300g前半。
ただこの靴は「ローカットのハイキングシューズ」という位置付けです。
なので比較対象がハイキングシューズです。その中では軽量という意味ですね。
hokaで言うところのtor ultra loって感じです。それは473g。
後で詳しく書きますが、この靴にはGORE-TEXが入っていて、足首にはゲイターが付いていて、ソールもかなりしっかりしている。 そう考えると、単にトレランシューズを流用したというよりは、「しっかり歩くための靴を極限まで軽くした」というバランスなのかなと思います。

実際に1週間使って試したいこと
ここまでスペックやメーカーの背景について書いてきましたが、結局のところ、靴は履いて歩いてみないと何も分かりません。
いくらDyneemaが強かろうが、Vibramが滑らなかろうが、自分の足に合わなかったり、長時間歩いて痛くなったら意味がない。とくにnordaは靴擦れしている人を多く見かけました。中にはみたことないくらい靴擦れしている人もいました。
なのでちょうどこれから、ノルウェーのトレイルを2週間ほど歩く予定があります。 舗装路も歩くし、泥道もある。急な岩場もあるし、雨が降る日もあるかもしれない。重いザックを背負って長時間歩くことになります。
なので、今回の2週間で以下のポイントを重点的にチェックしてこようと思っています。
1. 足入れとフィット感、ゲイターの使い勝手
ゲイター一体型の履き口って、脱ぎ履きが面倒じゃないか。 長時間歩いて足が浮腫んできたときに、つま先周りに圧迫感が出ないか。靴擦れ等。

【ここに実際に履いたあとの感想を追記】
2. GORE-TEXの蒸れとゲイターの防砂効果
GORE-TEX+足首ゲイターという構造で、靴の中はどれくらい蒸れるのか。 雨の中を歩いたときの防水性や、泥や小石が本当に入ってこないかどうか。

【ここに実際に履いたあとの感想を追記】
3. 岩場や泥道でのグリップ感
nordaを履いていたときと比べて、接地の感覚はどう違うか。おそらくソールは一緒でも靴の形状や体重の乗り方などで違いが出ると思います。
【ここに実際に履いたあとの感想を追記】
4. 疲れにくさと耐久性
EU43で438gという重さは、連日歩いたときに脚の負担になるのか、それとも適度な重みとして安定感に繋がるのか。 2週間歩き倒したあと、Dyneemaアッパーやソールの削れ具合はどうなるか。もちろん破けたりはしないと思いますが。
【ここに実際に履いたあとの感想を追記】
5.靴紐の解けやすさ
コレ意外に大事。高い靴でも解けやすかったり紐の形状や硬さで解けやすさが変わります。
なんでこれもみてきます。ちなみに靴紐を引っ掛けるところの形状はハイキングブーツみたいになっていて靴の脱ぎ履きが楽になるようになってます。


【ここに実際に履いたあとの感想を追記】
とりあえずのまとめ
今回は、ノルウェーの老舗メーカーAlfaの「Aksla 2.0 GTX」について、購入直後のファーストインプレッションというか、調べる中で見えてきた特徴をまとめてみました。
日本ではまだあまり知られていないメーカーだけど、北欧の環境に合わせてしっかり作り込まれている感じがあって、調べるほどに試すのが楽しみになってきた。
norda 001のような「軽快に駆け抜ける靴」とはまた違った、「タフに山を歩き通すための靴」として、どれくらい実力を発揮してくれるのか。
とりあえず、これから1週間、しっかりノルウェーの山で履き倒してきます。
実際に歩いてみてどうだったか、足が痛くなったのか、感動するほど良かったのか、そのあたりはまた戻ってきたら改めて書こうと思います。



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